禁煙を始めて数日。順調だと思っていた矢先に、悪魔の誘い文句が届きます。
「今日、一杯行かない?」
この瞬間、心臓がドクンと跳ねたなら、あなたは本物の喫煙者です。 お酒が入れば、理性を司る脳のブレーキはあっけなく壊れます。28年間、私にとってビールとタバコは「右足と左足」のようなものでした。片方が出れば、もう片方も出る。それが当たり前だったのです。
「一本くらい、バレないだろう」 「今日だけは特別だ」
そんな囁きに負けて、翌朝、灰皿に残った吸い殻を絶望的な気持ちで見つめたことが、私にも何度もあります。
断言します。禁煙初期にお酒の席で「根性」で耐えようとするのは、裸で戦場に飛び込むような無謀な行為です。私が28年の連鎖を断ち切るために下した、ある「非情な決断」をお話しします。

1. 「戦い」を避け、「逃げる」という最強の戦略
多くの人が「飲み会に行っても吸わなければいい」と考えますが、それが最大の罠です。 アルコールは、あなたが数日間かけて築き上げた「吸わない決意」を、数秒で溶かしてしまいます。
私が下した決断:
禁煙開始から最初の30日間、私はお酒の席という戦場から完全に「敵前逃亡」しました。
親しい友人からの誘いも、会社の付き合いも、すべて断りました。 「付き合いが悪いと思われたくない」というプライドよりも、「28年の呪縛から逃れたい」という願いの方が勝っていたからです。
- 「今、本気で禁煙中で、お酒を飲むと自信がないから、1ヶ月後に祝杯をあげよう!」
- 「体調管理で少しお酒を控えているんだ。また落ち着いたら連絡するね。」
本気で伝われば、本当の友人は笑ったりしません。むしろ、あなたの「本気」を尊重してくれるはずです。
2. 脳内の「黄金セット」を強制解除する
なぜ「1ヶ月」なのか。 それは、脳が「お酒=タバコ」という28年間のパブロフの犬状態を忘れるのに、どうしても必要な期間だからです。
私は家でもお酒を控えました。代わりに、喉を焼くような「キンキンに冷えた強炭酸水」を、ジョッキに並々と注いで飲み干しました。 タバコが欲しくなるのは、喉への刺激を求めている時でもあります。アルコールの代わりに強炭酸の刺激をぶつけることで、脳を「擬似的に」満足させるのです。
この1ヶ月で、私は気づきました。 「自分はお酒が好きだったんじゃない。お酒を口実にして、タバコを心置きなく吸える時間が好きだっただけなんだ」という残酷な事実に。
3. 「解禁」の夜に訪れた、信じられない変化
1ヶ月の断食ならぬ「断飲み会」を終え、私はようやく居酒屋の暖簾をくぐりました。 右手にはビール。しかし、左手にタバコはありません。
その時、衝撃的な体験をしました。 隣の席から流れてくるタバコの煙が、あんなに愛していたはずの香りが……「臭い」と感じたのです。
「服に匂いがつくのが嫌だ。せっかくのビールの味が、煙で濁ってしまう。」
28年間、タバコの煙というフィルター越しにしか味わえなかったお酒の、本当の喉越し、本当の香りを、私はその夜、人生で初めて知りました。 一度この「勝利の味」を知ってしまえば、もう昔の不自由な場所へ戻りたいとは思いません。

逃げることは、自分を愛すること
もし今、あなたが飲み会への参加を迷っているなら、勇気を持って「今は行かない」と選んでください。 それは負けではありません。あなたが、自分の人生を本気で取り戻そうとしている「証」です。
飲み会を1回断ることで、あなたは「一生タバコに支配されない人生」を買うことができる。そう考えれば、安い投資だと思いませんか?
28年吸ってきた私にできたことです。あなたにできないはずがありません。 1ヶ月後の、澄み渡った空気の中で飲む「最高の祝杯」を、私と一緒に目指しましょう。ご褒美になりますよ。




