「また増えている……」 朝、体重計に乗って76.4kgという数字を見たとき、全身の力が抜けるような感覚に襲われた。28年間の喫煙習慣を捨て、食事を整え始めたはずなのに、現実は非情だ。
そんな時、以前の私なら「もうどうでもいい」と自暴自棄になり、コンビニへ走ってジャンクフードを胃に流し込んでいただろう。しかし、今の私は違う。
そのままベランダへ出て、スマートフォンの再生ボタンを押す。 流れてくるのは、誰もが知るあのメロディ。 48歳の男が、独り、真剣にラジオ体操を始める。この「たった3分間」のルーティンこそが、私の再生を支える最後の砦となっている。
「完璧主義」というA型の罠を突破する
私は自他共に認めるA型だ。物事をやるからには完璧にやりたい。 だが、その気質がダイエットにおいては仇となる。 「一口多く食べてしまった」「今日は自炊ができなかった」 そんな小さな「失敗」を許せず、0点か100点かで考えてしまう。100点が取れないなら、もう0点でいい――。この極端な思考が、過去の私を何度も挫折させてきた。
そんな私に、ラジオ体操は**「継続の合格ライン」**を教えてくれた。 どれだけ前夜に食べ過ぎても、どれだけ体重が増えていても、朝起きて体操さえすれば、その日の私は「自分との約束を守った男」として100点からスタートできるのだ。
28年間の「呼吸の浅さ」に気づく瞬間
ラジオ体操第一、大きく腕を振って胸を反らす運動。 この時、私は28年間ニコチンに浸していた肺の奥深くまで、新鮮な空気が入り込むのを感じる。
喫煙していた頃の私は、常に呼吸が浅かった。イライラを鎮めるために煙を吸い、溜息をつくように吐き出す。それは「呼吸」ではなく、単なる「排気」だった。 しかし今、ラジオ体操を通じて行う深呼吸は、細胞一つひとつに「生きろ」と語りかけているような、生命の躍動を感じさせてくれる。
体重計の数字はすぐには変わらない。けれど、朝一番に自分の身体の隅々まで酸素を届けることで、「この身体を、もっと大切に扱いたい」という静かな決意が湧き上がってくるのだ。
「食事」という攻めと、「体操」という守り
私が実践している「人生初のダイエット本(松田リエ式)」による食事管理は、身体を作り直すための「攻め」の戦略だ。 対して、ラジオ体操は、私の心を折れさせないための「守り」の戦術である。
- 食事で躓(つまず)いても、体操でリセットする。
- 体重が増えても、体操で「動ける身体」を確認する。
1/6の73.9kgから、2/12には76.4kgへ。この2.5kgの増加は、正直に言って苦しい。 だが、2/19も76.4kgで踏みとどまれたのは、毎朝のラジオ体操によって「自分を投げ出さない」というメンタルの体幹が鍛えられていたからだ。
「できないのが人間だ。でも、ラジオ体操だけはできる」 この開き直りこそが、48歳の再生には必要なのだ。
目標65kgへ。数字よりも「感覚」を信じる
175cmの私にとって、65kgはまだ遠い星のように見える。 しかし、毎朝ラジオ体操で指先までピンと伸ばし、身体のキレを確認していると、不思議と「いつかは辿り着ける」という根拠のない自信が湧いてくる。
数字は嘘をつかないが、数字がすべてではない。 朝の3分間、自分の重くなった身体と向き合い、それでも軽やかに動かそうと足掻く。その積み重ねが、いつか必ず65kgという結果を連れてきてくれると信じている。
3分間の「自分への敬意」
ラジオ体操は、子供の頃の夏休みの義務ではない。 48歳の私が、28年間の不摂生を詫び、これからの人生を共に歩む自分の身体へ贈る「敬意」の儀式だ。
もし、あなたが「ダイエットが続かない」「自分を責めてしまう」と悩んでいるなら、まずは明日の朝、ラジオ体操の音楽をかけてみてほしい。 不器用でもいい。身体が重くてもいい。 その3分間が終わったとき、あなたは「昨日の自分」よりも確実に、再生への一歩を踏み出しているはずだから。

